散骨に関する豆知識
散骨の歴史を知る散骨は、実はかなり昔からあった弔いのかたちだとされています。840年には「自分の骨を砕いて、山に撒くように」と天皇が後継者に対して指示をしたとされています。
また、日本最古の歌集である万葉集にも、散骨の記述があるとされています。ただ、この頃の散骨が、現在の散骨のかたちとまったくのイコールであったかと言われると、そこには疑問が残るところです。
このような特例があったとはいえ、「散骨」というかたちは、それほど一般的な弔い方法ではなかったのも確かです。日本では戦後、火葬が一般的であったため、「散骨」はそれほどメジャーではありませんでした。
特に、「お墓にお骨を埋葬する」という文化が根付いていたため、今までは散骨はあまり注目を浴びていなかったのです。一部では「水葬」というかたちで自然に還す方法もとられていましたが、現在の日本においては、この方法は極めて特殊な条件下でなければ許可されていません。
現在では「散骨」も一つの弔いのかたちとして認知されつつあります。上の歴史を踏まえて解説するのであれば、「弔いのかたちが多様化していくなかで、散骨は改めて見直されてきた」というのが現実だ、と解釈するべきでしょう。
また、核家族化や転居なども進み、「お墓を守ること」という概念が薄れつつあるのも、この「散骨」という選択肢に注目を集めさせる要因になったのかもしれません。
散骨に最適な時期や季節は?散骨の時期についてですが、これは明確な決まりがあるわけではありません。ただ、台風の時期などは避けた方が賢明でしょう。「絶対にできない」というわけではありませんが、はじめに予定していた日は海上に出ることができず、別の日に行わなければならなくなるかもしれません。
散骨を行うタイミングに「正解」はありません。そのため、いつ行っても構いません。「お骨を1年は自分の手元においておきたい」と考える人もいれば、「四十九日のタイミングでお見送りをしたい」と考える人もいるでしょう。
また、「夫婦の記念日がこの日だったから、この日にお見送りをしたい」「故人が希望していた日がある」ということであれば、もちろんその日を選んで構いません。「休みがとりやすい日」という理由でもよいでしょう。
大切なのは、しっかりと家族や親族と一緒に話し合って決めることです。
さまざまな散骨の形「海洋散骨」以外にも「散骨」にはさまざまなかたちがあります。
海洋散骨と並んで選ばれやすいのが、「樹木葬」でしょう。「森林葬」などとも一緒に論じられることが多いですが、ここではこの2つは分けて述べていきます。
解釈は人によって多少異なりますが、ここでは「樹木葬」=「樹木の下にお骨を置き、お墓ではなくて木を植える」ということで紹介します。
この方法は、木がそのまま墓標代わりになります。海洋散骨に比べてお参りがしやすいのが大きなメリットです。美しい花が開いているのを見て、故人に思いをはせる人も多いことでしょう。これは「お骨を埋める」という方法ですから、「散骨」にあたるかどうかは微妙なところですが、親和性の高い話題ですからここで取り上げました。
「森林葬」は、ここでは「山にお骨を撒くこと」という解釈の上でお話しをしていきます。
この方法は海洋散骨と似たところがあります。まず、お骨はパウダー状にしなければなりません。そして、周りに迷惑がかからないかたちで散骨する必要があります。また、当然のことながら、土地の所有者に許可を取らなければなりません。さまざまな制約が付きまとう方法ですから、事前の確認が必要です。
宇宙葬や空中から散骨するという方法もあります。ただこれらの方法は選択肢がかなり狭まりますし、海洋散骨や森林葬以上に「お参り」が難しくなります。このため、これらの方法を選ぶのであれば、他の方法以上に慎重な判断が求められます。
「散骨」という方法にはさまざまなメリットがあるものの、注意点もたくさんあります。家族や親族、そして本人の生前の遺志を尊重しつつ話し合って、ベストの選択肢を選ぶようにしましょう。